法定後見制度とは

法定後見制度とは

法定後見制度とは、すでに判断能力の低下がある場合に、本人・配偶者・四親等内の親族・市町村長等の一定の範囲の人の申し立てにより、援助してくれる人を家庭裁判所に選んでもらう制度です。援助者に対し同意権(取消権)または代理権あるいはその両方を付与することで、自分一人では困難な不動産や預貯金等の財産の管理や各種契約が安全に行えるようになります

法定後見では、本人の判断能力の程度によって後見・保佐・補助の3つの類型に分けられます。
法定後見開始の申し立ては、被後見人となる本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出して行います。申し立ての際には、申立書のほか、本人の戸籍謄本、診断書などいくつかの書類を添えなければなりません。申し立ての費用は、概ね10,000円以内になりますが、鑑定が必要な場合は鑑定料が50,000円~150,000円程度必要となります。
申し立ての際に、成年後見人の候補者を推薦することは可能ですので、適当な候補者がいる場合には、申立書にそのことを記載し、その人の戸籍謄本や住民票などを添付すれば、家庭裁判所で考慮してもらうことができます。
候補者がいない場合は、無理に推薦する必要はありません。このような場合、家庭裁判所がどの親族とも利害関係のない、専門家等の第三者を成年後見人に選任してくれます。

親族のいない場合の申立て

後見開始等の審判は本人にも申立権がありますが、本人に申立てをすることを理解できるだけの判断能力がない場合には、誰かが代わって申立てをする必要があります。民法が規定する申立て権者は、本人のほか、配偶者、4親等内の親族、他の類型の援助者、検察官です。4親等内の「親族」とは、4親等内の血族と3親等内の姻族をいいます。これらの範囲の身内がいない場合には本来は検察官が申立てをするべきですがなかなか申立てをしてくれないのが実情でしたが、他の法律により、本人の福祉を図るために特に必要がある場合には市町村長も申し立てをすることができます「特に必要がある場合」とは、申立権のある親族がいない場合、いても申し立てをしようとしない場合です。